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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

11月のみことば 宗教科 納富幸夫

テーマ「神さまの望み」

「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。」 (「テサロニケの信徒への手紙Ⅰ」第5章16節)

 ○「どんなときでも神から大切にされていることに気づく」ことができますように。 (「18歳のわたくし」より)

○ 弱い者たちを助け、すべての人に対して忍耐強く接することができますように。すべての人に対して、      いつも善を行うよう努められますように。

 ○ 戦争で亡くなられた方々や不安や混乱に苦しんでいる方々がなぐさめられ、希望が与えられますように。

今月の聖句は、パウロの「喜べ」・「祈れ」・「感謝せよ」です。『喜ぶ』は9月の聖句にもありましたので今回は「祈り」と「感謝」について考えてみたいと思います。 『祈り』の原点は、目に見えないものに触れることによって、生きる意味の希求にあると言われています。   人間を超えたもの、他者とのつながりの中で自らの生きる意味を見出していくことは、人間がおのずから希求  する根本感情だからです。そこで今、私たちに一番必要とされているのは、【静寂】の時間です。それは目に見えないものに触れる時空を生み出し、語りえない存在に向かって自己との対話を深める時間だからです。そして彼方からの声を「聴く」、沈黙の中で、無音の声を感じる瞬間だと思っているからです。「祈りの学校」といわれる「ヨハネの福音書」には、これらのことを1. キリスト中心の祈り、2. 御父に向けられた祈り、3. 私たちを変容させる神の息吹についての三点に分けて述べられています。詳細は授業で見ていきますが、要点は『すべてを私の名(神の名前)によって願うこと』、『御父が注ぎ込んで下さる息吹(いぶき)こそが祈り』、『イエスと一致(呼吸)すれば、どんな祈りも聞き入れられる』という【変容の神秘】について語られています。 『感謝』については、「ルカの福音書」にこんな話があります。≪重い皮膚病を患った10人の病人がいて、 その全員がイエスによって癒されました。しかし、感謝を表しに来たのはたった一人だった≫ というものです。 これは、人間は一度自分の欲しいものを手に入れるとなかなか戻ってはこないことを表しています。現代、  私たちの身近なことにおいてもです。

○子どもはしばしば両親に対して感謝を忘れています。生きとし生けるものの中で1人立ちするのに一番時間がかかるのが人間です。私たちは、長い年月の全てを両親に負って生きてきています。やがて、両親は老いて厄介な日が来ます。その時、自分の負った負債を返済しようとする人は多くはないと思われます。両親に対する最上の感謝は、≪その恩に値する人間≫ になることだからです。少し、【リア王の悲劇】を思い出してみてください。

○友だちや教師、医師などに対して感謝を忘れます。友だち、教師、医師に恩を蒙(こうむ)ったことは誰しも経験することです。その時は決して忘れないと誰しもが考えているにも拘(かか)わらず、恩に報いる人は多くありません。最高の感謝は、≪その恩に値する人間≫ になることだからです。

○特に、愛に満ち、多くの恵みをくださっている神に対しての感謝を忘れています。私たちは、多くのことを「当たりまえ」と考えて生き、困難や苦しみに出会った時は、必死になって祈っても、その時が過ぎ去ると、神のことは、とんと忘れてしまいます。食前の感謝もなく、神の独り子イエスの、十字架上の死すら忘れ去っています。そんな私たちでも神にささげる最上の感謝は、少しでもその恵みとあわれみに気づき、神が望まれる人間・神の恵みに値する人間になろうと努力することだと私は確信しています。

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