第1学期 終業式「神の大きな計画の中で生きる」校長 古賀誠子
皆さん、おはようございます。今日で一学期が終わります。今日は、4月からの歩みを振り返り、これからのことを考える日です。まず、皆さんは、この一学期を振り返って、どんなことを思い出すのでしょうか。平和の旅・ルーツの旅、体育会などの学校行事はもちろんのこと、日常の生活の中で、新しい友人ができた、部活動や勉強で力を出し切れた人もいるでしょう。逆に、自分の1学期には不足があったと感じている人もいるかもしれません。
わたしたちの毎日は「選び」の連続です。高校生は、どの大学を目指すか。これからどんな仕事に就くか。そして、どんな人生を送りたいか。「将来」についての選択が本当に多くなってきます。できれば何らかの形で、「成功したい」と考えている人も少なくないでしょう。
さて、今日の聖書には3つのポイントがあります。これは、ローマの牢獄にいた使徒パウロがエフェソス(トルコ西部)の教会に向けて送った手紙です。「人生」についてのメッセージでした。しかし、それは「あなたがどうすれば成功するか」という話ではありません。まず始めに、「神が私たちをどのような存在として見ておられるのか」から始まります。パウロは最初にこう言います。「天地創造の前に、神は私たちをキリストにおいてお選びになりました。」天地創造の前――。つまり、皆さんが生まれる前どころか、この宇宙が始まる前から、神様はあなたのことをご存じだった、ということです。
考えてみると、不思議な言葉です。私たちは普段、「自分は何者か」ということになると、今の自分だけを見つめ、周りとの比較で考えてしまいます。定期テストの順位。模試の偏差値。部活動大会の結果。SNSフォロワーの数。「いいね」の数。そうした数字は目に見えるので、つい自分の価値まで数字で決めてしまいます。しかし、以前にもお話ししましたが、神様は、そうではなく、あなたの「存在」を大切にしておられます。
勉強を頑張るのは、きっと「地位や名誉がある人間になる」という目的ではないでしょう。生まれながらにひとり一人に備えられた賜物(ギフト)を自分で育て、他者のために用いるためです。成功を得るためだけに努力する人生は、いつも不安です。失敗すれば、自分の価値まで下がるように感じます。しかし、神のみ心に適う者として努力する人生は違います。なぜなら、自分の存在の土台が、(数字ではなく)、「神の愛」にあるからです。失敗しても、やり直すことができます。挑戦しつづける勇気は潰えることがありません。私たちは、神様からいただいた賜物(ギフト)を育てることに、怠惰であってはなりません。つまり、「一生懸命勉強する」ということです。
次に、「神は御心の秘められた計画を知らせてくださいました」とあります。この「計画」という言葉は、とても大切です。皆さんも将来の計画を立てます。身近な夏休みの計画、受験の計画から、10年先、20年先の将来の計画などです。しかし、人生は決して計画どおりには進みません。途中で病気になることもあります。失敗することもあります。残念ながら、あなたの希望が叶えられないこともあります。友人や恋人と別れることもあります。「自分の計画」が崩れて、絶望を感じたことは、皆さんも多かれ少なかれ、経験があるのではないでしょうか。
しかし、聖書は、「神にはもっと大きな計画がある」と言います。神の計画とは、一人ひとりを生かし、成長させ、世界をより良いものへと導く計画です。残念ながら、私たちは、その全体を見ることはできません。しかし、振り返ってみると、「あの経験があったから今の自分がある」と思ったことはありませんか。遠回りだと思っていた道が、実は必要な道だったと気づいたことがありませんか。神の計画とは、決してあなたの自由な選びを奪うものではありません。私たちの歩みを尊重しながら、希望へと導いてくださる計画です。
最後に、パウロは、この計画の目的を語ります。「天にあるものも地にあるものも、すべてキリストのもとに一つにまとめられる。」世界は今、分断されています。国と国。世代と世代。SNSでは、一つの言葉で人が傷つき、対立が広がります。自分と違う考えを持つ人を排除する風潮もあります。そんな世界の中で、イエス・キリストは「一つにする方」です。
現実に目を転じてみます。わたしたちも、「分断を広げる人」ではなく、「つなぐ人」でありたいものです。教室の中で孤立している人に声をかける。人の悪口に加わらない。「ありがとう」、「ごめんなさい」をきちんと言う。人の話をよく聴き、違う意見にも耳を傾ける。そうした小さな行動が、神様の計画に参加することになります。
これから夏休みが始まります。将来のことにも思いを巡らせることでしょう。「何になるか」を考える時間は大切です。しかし、それ以上に、カトリック学校の生徒なのですから、「神様は私に何を願っておられるのだろう。」という問いを持って過ごすことが大切です。大学や職業は、自分の人生の中で、とても大きな選択です。しかし、もっと大きな視点で見ると、これは、人を愛し、人のために、社会に貢献する手段です。それだから、進路を考えるときには、「どこへ行くか」よりも、「どのように生きるのか」を軸にして考えましょう。
どうかこの夏休みが、充実した時間となりますように。そして二学期、皆さんが大きく成長した姿で戻って来ることを期待しています。


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