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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

ミッションウィークⅢ「Grateful Pain♪」教諭 森 香織

「味気ない日常に、行き場を失ったspotlight、磨けばほら、鏡に映る君は、ねぇ、輝いていたんだ・・・。」
これは好きな曲の好きな歌詞の部分です。今日の題名はその曲のタイトルです。 今日は皆さんの今と同じ時期、思春期時代の話をさせてください。幼い頃から体を動かすことが大好きで、一番好きな授業はもちろん体育でした。中学1年生になったばかり、思春期に入った私は授業のラジオ体操をはじめて適当におこないました。数日後、体育の先生から職員室に呼ばれ、何かしたかなぁ、でも何となく・・・あの体操かなぁ・・・と。当時の体育の先生は60歳の節(せつ)先生という方で、まだ数回しか会ったことがない先生でした。節先生は私を見るなり、少し厳しい口調でこう言いました。「あなたはそれでいいの?あなたが引っ張らないで誰が引っ張るの?」と。このやり取りを今も鮮明に覚えており、思い返すと体育の先生になりたい、と思ったのは節先生の言葉からだった気がします。そして中学3年生となり、最後の中体連大会や受験勉強の時期に入ります。朝、いつものように目覚めると、突然、激しい吐き気が襲いました。風邪ひとつ引いたことがない、学校を休んだことがなかった私は初めて学校を休みました。吐き気と同時に腰が起きないほどの腹痛もともないました。病院に行っても原因が分からず、そのまま検査入院し、急性虫垂炎(盲腸)の可能性が高いと診断され、痛みから1週間後に手術をしました。盲腸はすぐ治る・・・と思っていた私と家族。しかし手術から1週間後、地域医療支援病院から特定機能病院へと救急車で運ばれ、緊急手術をおこないました。数ヵ月の入院、食事はできず、車椅子の生活、点滴のみで、体重は1ヵ月で10キロ減りました。大好きな運動はできませんでしたが、夜は1人、車椅子で屋上まで上がり、腕だけ動かしたり、夜空を見上げたり。
「星はキラキラ光っている。」入院中に見た星空はとっても綺麗でした。ある夜、看護師さんが父に話をしていた声が聞こえてきました。「盲腸でしたが、あと2日到着するのが遅かったら・・・。でも、もう大丈夫ですよ。」と。口数が少なく、厳格な父がその時は泣いていたように感じました。退院後は地域の病院に転院し、受験勉強に励みました。高校入学。高校でも通院生活は続きました。部活が終わり、遊びに行くみんなの後ろ姿を見ながら、1人病院へ行く、という日々でした。1時間程かかる登校中のバスの中で、時に涙が零れることもあり、高校前の停車ボタンの音を聞くのが苦しい日もありました。それでも乗り越えることができたのは私の中にある目標と、家族や友人、そして先生の励ましがあったからでした。・・・・・時が経ち、今、私は海星の教壇に立たせていただくことができています。
思春期の出来事が今の私をつくり、教員としての糧となっていることに、今は感謝しています。「体調がおかしいと感じたらすぐに受診、痛みを我慢しない、怪我や病気で、思うようにできない期間にも必ず意味がある。苦しい日々にも意味がある。経験したことが、将来、誰かの力になる。そして苦しみも痛みもいつか感謝に変わる日がくると信じて。」と、生徒に伝えることができます。

 あの時の涙目な私に、こう言いたいです。
「今を乗り越えたら、こんなに素敵な生徒たちが待っているよ・・・」 と。          

今日も海星で、みなさんと一緒に、そして先生方とともに、祈ることができる朝に感謝します。

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