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講堂朝礼〜生徒へのメッセージ〜

Messages for Students

第2学期 始業式 校長 古賀誠子

校長 古賀 誠子

 オリンピックの開会式を見て考えました。ミーシャによる国歌、市川海老蔵の「暫」、王貞治、長嶋英雄、松井秀樹の聖火リレー、東日本大震災で被災した子どもたち、エッセンシャルワーカーの方々の登場など、この10年の日本と今の世界の現状を表現した開会式でした。誰が、聖火リレーの最終ランナーとなるのだろうかとワクワクしながら見ていました。長い間メディアに顔をださなかった大坂なおみがその姿を現した時、私は「なるほど」と納得しました。大坂なおみは、アメリカの警官による黒人への暴行、人種差別に強く抗議し、その犠牲となった人の名前をプリントした黒いマスクを全米オープンで着用して出場しました。最近では試合後の会見で、メディアから投げかけられる質問は、落ち込んでいるアスリートの人権を踏みにじると主張し、自身の心身の不調を訴え全仏オープンを棄権しました。彼女のとった行動は、世界中の人々からの注目を集めました。2020オリンピックのマークを皆さん知っていますね。様々な大きさの四角形が、大きな円を作っています。聞いたことがある人もいるかもしれませんが、今回のオリンピックのマークである円(まる)、それを創る一つ一つの四角形の大きさがそれぞれ違うのは、今回のオリンピックのテーマ、『多様性』を表わしています。「多様性」、それは「あなたと私はちがいます」ということです。違いをよく表現し、受け入れる人でありたいですね。そして、それはあなたたちが今、学校での授業や行事、様々な活動を通して、思考力、判断力、そして表現力をどれだけ鍛えることができるかによります。10年後、20年後の社会を担う皆さんは、ここで学ばなければならないことがまだまだたくさんありますね。

  さて、7月のルーツの旅で赴いた熊本修道院のお御堂で、シスター入江にご講話いただきました。ある3年生の感想をご紹介します。「マリアの宣教者フランシスコ修道会の大切にしている考え方は『頼まれたことは絶対にことわらないということ』ということ。私もそのような対応ができる人になりたいと思いました。5人のシスター方は、何の資格も持たずに海を渡り、熊本に到着するとすぐに日本語を勉強したそうです。そして、『シスター方が持ってきたものはただ『愛』だけだった』とシスター入江はおっしゃいました。この話を聴いて、大切なことは、何か優れているものを持っていることではなくて、気持ち(心)であると考えました。格好良く見られたい、お金持ちになりたい、有名になりたい、そんな欲望で勉強はするものではない。勉強は人のためにするもの、将来自分を人のために役立てるためのもの、そして、人のために何かをするということは、自分自身も豊かになり、してもらった人も幸せになるのだ。私も人のためにできることをもっともっと探して、行動しよう。海星でしかできないとてもいい旅でした。」

 今日の聖書の箇所は、「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」(コリントの信徒への手紙 Ⅱ)財産、名誉、権力は一時的なもので、やがて年を取ると共に消えていきます。しかし、シスター方のように、目に見えないもの、「愛」による働きは、今でもこうして語り継がれながら、永遠に人々の中で生き続けます。そして、世界中の海星(ステラマリス)で、そして、もちろん私たちの学校でも、 いつの時代も変わることなく、 この精神を土台とした教育が行われています。次は、マザーテレサの言葉からの引用です、「私たちは、この世では大きいことはできません。小さなことを大きな愛でするだけです。大切なのは、どれだけたくさんのことをしたかではなく、どれだけの心を込めたかです。」2 学期も、心を込めて、丁寧に人と繋がる人になりたいですね。

 3年生は、9月の推薦会議を経て、いよいよ10月以降受験が本格的に始まります。頑張ってください。夏休み、入試のプレゼンテーションを作成している3年生の姿に出会いました。プレゼンテーションのデータをより信憑性の高いものにするために、リサーチに出掛けると話していました。うまくいったでしょうか。このように心をこめた一歩一歩こそが、本物です。自分の得意を伸ばすこと、それが人のために自分を役立てる第一歩であるということを覚えておきたいですね。これから先、担任の先生が、いろんなアドバイスをしていくことと思います。素直に耳を傾けながら進んでいってください。必ず道が開けていきます。 2年生は、あと1年で、受験がはじまります。目標の進路は見つかっていますか、決して妥協することなく、「自分で自分を鍛える」気持ちをもって、高い目標を設定すること。そして、これからの3年生の姿をよく見て、覚えておいてください。 1年生は、高校の部活動や勉強に慣れてきたころではないかと思います。そろそろ自分の興味関心のある分野が見つかって、それに関する進路が見えてくる時期です。ただ時間を過ごしていても何も見つからないし、あなたに代わって見つけてくれる人もいません。恐れずに、何でもやってみることです、手足を動かして、活動しているときにそれは見つかり、目の前にこれまで見たことのない景色が広がります。

 コロナウイルス感染拡大が、再び進んでいます。この混乱の中で、わたしたちのあるべき姿が、毎日問われています。高校生らしい選びと行動を期待しています。2学期も「うつさない、うつらない」、感染に気を付けて、気を引き締めて頑張ってまいりましょう。

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